D&I(多様性の尊重)について

風音屋におけるD&I(多様性の尊重)のゴール

 

D&I(多様性の尊重)とは何か

多様性(ダイバーシティ)とは、国籍・年齢・性別・宗教・思想・スキルなど、個々に備わった属性の違いを認め合う考え方を指します。そして包摂性(インクルージョン)とは、すべての個性が受け入れられ、存分に生かされている状態を表します。これらを踏まえてダイバーシティ&インクルージョンとは、全員の特性を尊重し合うことで互いの関係性を強め、なおかつ全体のパフォーマンスがどんどん高まる組織にしていく取り組みを指します。 ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは? 具体的な取り組みや推進のための施策を解説
 
ただし、風音屋では「スキル」は「給与を受け取る代わりに従業員が会社に提供する商品の1つ」「後天的な訓練によって向上できるもの」「プロフェッショナルとして継続的に向上すべきもの」と解釈します。したがって「スキルが不足しているメンバー」への過剰な配慮は行わず、積極的なスキル向上を要求・支援します。
 

■ 「属性の違い」に対する「無意識のバイアス」について

無意識のうちに以下のようなバイアスのある発言・判断をしてしまい、心理的な不利益を及ぼす恐れがあります。
例えば、といった発言は適切ではありません。
  • 花子さんの性別が女性であるとは限りません。名前から女性だと思い込んでいます。本人は「自分の名前が女性のようだ」と気にしているかもしれません。
  • 仮に戸籍上の性別が女性だとしても、本人の性自認が女性とは限りません。本人は女性扱いされることをネガティブに捉えるかもしれません。
  • 仮に性自認が女性だったとしても、女性同士で話すほうが安心できるとは限りません。とある男性メンバーと早めに交流して、その人の業務を引き継げるようにするほうが、結果的に花子さんのためになるかもしれません。
この場合は「女性だから」ではなく「この業務を担当するから」でランチのメンバーを選ぶほうが望ましいでしょう。
なお、本人へのヒアリング時に「チームで活躍している同性の話を聞きたい」といった要望が挙がり、かつ、その要望に対して他メンバーが自主的に立候補するようなケースでは、「一定の配慮を行っている」「合理的な理由にもとづいている」と判断します。
 

■ スキル不足が招く「過剰な不利益」について

風音屋は「従業員が働きやすい会社」を目指しています。育児や介護をしながらでも、無理なく仕事を続けられる会社でなければいけません。家族構成や生活スタイルなどの「属性の違い」によって「過剰な不利益」を受けることは に反します。
そのためには「自分のスキルが低くてトラブル対応に追われてしまう」「スキルが低いチームメイトのフォローに追われてしまう」といった事態を防ぐ必要があります。つまり「全従業員のスキルが一定以上の水準であること」が求められます。
例えば、何らかの業務を任せられた場合、早期に「カレンダーで作業時間を確保すること」「スコープを合意すること」「成果物のイメージをすり合わせること」「見積もりを行うこと」「30分単位のTodoリストに分解すること」「想定リスクと対策を洗い出すこと」「関連する業務知識やツールの使い方を身につけること」「スケジュールや納期を調整すること」は、ビジネスにおける基本スキルとなります。
反対に、期限の間際になってから慌てることを「学生症候群」と呼び、ビジネスの世界ではネガティブに捉えられます。学生の期末レポートであれば本人の成績が下がるだけで済みますが、ビジネスの世界では、お客様、取引先、チームメイトなど、周りの人たちに迷惑をかけてしまうからです。
そうなると「トラブルだらけの職場」「いつもギリギリで慌てる職場」になってしまい、「働きやすい職場」ではなくなってしまいます。本人だけではなく周りに迷惑がかかります。学生症候群のメンバーと一緒に働こうとすると、育児や介護と仕事の両立が困難になってしまいます。
したがって、1人1人がプロフェッショナルとして振る舞うことが「働きやすい職場」を実現・維持するために必要不可欠です。
 

ゴール達成のための方針

を達成するために、以下の方針を採用します。
  • ①「属性」の違いにもとづく発言や意思決定の禁止
  • ②お互いをサポートしあうためのスキル向上の推奨
 

■ 方針①:「属性」の違いにもとづく発言や意思決定の禁止

合理的な理由がない場合、属性の違いにもとづくあらゆる発言や意思決定は原則的にNGとします。
 
  • 性別
    • ❌ Don’ts:「女性は〜」「男性は〜」のような発言。
    • ✅ Do’s:産休(労働基準法)、男女トイレ別(労働安全衛生規則)等での言及。
  • 国籍・人種
    • ❌ Don’ts:「日本人ではない人は〜」のような発言。
    • ✅ Do’s:外国籍の雇用(入管法)等での言及。
  • 年齢
    • ❌ Don’ts:「50歳以上の人は〜」のような発言。
    • ✅ Do’s:未成年の雇用(労働基準法)、介護保険料(介護保険法)、定年退職(就労条件総合調査によると98%以上の企業が定年退職制度を定めており事実上の標準となっている)等での言及。
  • 居住地・出身地
    • ❌ Don’ts:「◯◯地区に住んでいる人は〜」「◯◯出身の人は〜」のような発言。
    • ✅ Do’s:観光相談のような差別的意図のない私的な会話、通勤手当の上限設定、出張の費用対効果の判断、市区町村ごとに手続きが異なる場合等での言及。
  • 家族構成
    • ❌ Don’ts:「子どもがいる人は〜」「独身の人は〜」「介護中の人は〜」のような発言。
    • ✅ Do’s:育休取得経験者へのキャリア相談のような差別的意図のない私的な会話、スケジュール調整での配慮、キャリアプランやライフプランを踏まえた能力開発の相談・助言、産休・育休(育児・介護休業法)、社会保険料の計算(厚生年金保険法)等での言及。
  • 経歴(職歴・学歴)
    • ❌ Don’ts:「水商売の経験者は〜」「大学を出ていない人は〜」のような発言。
    • ✅ Do’s:職歴が長い先輩社員へのキャリア相談のような差別的意図のない私的な会話、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない場合の採用判断(暴力団排除条例)等での言及。
  • 宗教・信条
    • ❌ Don’ts:「◯◯教の人は〜」「◯◯党を支持する人は〜」のような発言。
    • ✅ Do’s:会食セッティングでの配慮(例:ハラール認証)等での言及、服務規程違反となるような勧誘行為に対する処分。
 

■ 方針②:お互いをサポートしあうためのスキル向上の推奨

全員がお互いをサポートしあえるようにスキル向上のためのガイドと人事目標を課します。
 
  • ❌ Don’ts
    • 「スキルの低いメンバーは残業なし&自己学習なし」かつ「スキルの高いリーダーが残業してその分をカバーする」という状態。
    • 未経験枠での入社の場合、「未経験だから仕事ができなくても当然だ」「未経験だから手取り足取り教えてもらって当然だ」といったスタンス。
    • 上記方針だと「一部の人の負担が増え続ける会社」(働きにくい会社)になるからです。
  • ✅ Do’s
    • 「スキルの低いメンバーは残業や自己学習を通してスキルアップする」かつ「スキルの高いリーダーは残業せずにワークライフバランスを実現する」という状態。
    • 未経験枠での入社の場合、「未経験だからこそ毎日3時間以上の自己学習を行う」「未経験だからこそ入社1ヶ月で資格を取得する」といったスタンス。
    • 上記方針だと「従業員全員がお互いをカバーできる会社」(働きやすい会社)になるからです。
 

現時点では実施しないこと

  • 現時点では、DE&I(E=Equity:公平性)ではなくD&Iとします。現在のフェーズではEquityの担保に向けた活動にコミットメントできないからです。あくまで「過剰な不利益」を被らないことをゴールとします。
  • 現時点では、「人材採用の幅を広げる」「企業成長を牽引する」ための「攻めのD&I」という位置付けにはしません。500人から1,000人へと拡大するといったフェーズで、採用マーケットの対象規模を広げなければいけない場合に検討することになるかと思われます。
  • 現実点では、補助制度への過剰な投資は行いません。例えば、東京大学だと「本郷けやき保育園」という保育園が併設されています。将来的には同じように「オフィスの隣に保育園を設ける」といった取り組みをぜひ実現したいところですが、現時点では時期尚早なので見送ります。